2012年9月12日水曜日

コブシヲニギレ

 これが感想を書くのは2曲めになりますが、どの曲を選ぶかについてはかなり迷いました。どの曲についても語りたいことがあるため、せっかくの今日の更新、本当にこの曲でいいんだろうか?という迷い方をします。

 今回のコブシヲニギレですが、曲のテーマは至ってシンプルだと思います。

 ゆっくりの前奏から、重いベースが入って、「知ってる 君がいつも陰で僕を笑いものにしてる…」と続く、私はこの時点で、きっと私はこの曲を好きになるだろうなと思ったわけですが、その後の曲の盛り上がりも素晴らしかったです。

 結論としては、人生上手いことやってる奴に影で笑われて、深く落ち込んだ挙句、黒い炎と共に立ち上がっていく、ただその1点を描いた曲ってことになるんだと思います。
 しかし、これは決して悪口ではないんですが、稲葉さんはこういう陰キャラ的なイメージがはまるな!(笑)マイナスの感情を蓄積していって、一気に爆発させていく感情のプロセスと、稲葉さんの歌声の音色、そして言葉選びが見事にマッチして、テーマはシンプルですが、その部分だけを色濃く切り取ることに成功している曲だと思います。

 ちなみに、「Bring it on」ってのは、何か相手が挑発してきたところに挑発し返すような、「受けて立つぜ」的なニュアンスを持つイディオムらしいです。まあこういうマイナスの感情は、得てしてそれをぶつける相手が存在するわけで(そして自分を「被害者」として定義する必要があるわけで)、そのあたりを考えてみても、この言葉選びはまた、そういう細かいニュアンスの持つ観念を考えても、曲のテーマにしっかりと合致しているなと思います。


 しかし、私はこの曲に対して、少し穿った見方をせざるを得ません。というのは、うまいことやってる奴がいて、(直接的に馬鹿にされるかはまた別としても)またそれに嫉妬し、悔しく思って打倒したいと思っている自分という構造は(自分が加害者になったり被害者になったりすることも含め)、人生の中で往々にして存在しうる、ありがちな構造だと思うからです。

 まあただ、生きている限り、その動機がプラスに向くものであろうと、マイナスなものであろうと、何でもいいから強いエネルギーが欲しい時ってのはあると思います。この曲は、蓄積されたマイナスの感情を一気にエネルギーに変える形で自分を鼓舞しようと思うとき、その「道具」として「使える」のではないでしょうか。

 私はこういうマイナスの局地みたいな感情は好きではありますが、そこから生まれたエネルギーはそうそう長続きするものでもないと感じています。しかしながら、上にも書きましたが、その動機がどんなに不純でひねくれ曲がっていようが、人生においてやるべき時というのは確実にあるのです。この曲が捉えているのはきっとその瞬間なのだと思います。

 曲の真ん中あたりに「このままうまくバックレようなんて世の中そんな甘くないんだよ…」という呪詛にも似た稲葉さんのささやき声が響きますが、別にこれは相手に言い返せ!とかそういうレベルの話をしてるわけではないと思うのです。例えばその相手は、自分の夢に向かう上でのライバルであったり、恋敵であったり、その他諸々、自分の行く手をうまいことやって阻むいけ好かないやつ全てを総体的に表した「敵」への、恨みにも似た対抗心を表しているのだと思います。


 漠然とした抑圧感を抱え、瞬発的なエネルギーが欲しいけど、いまいち力が出ない。そんな人は、この曲を聞いて、自分へのちょっとした揶揄を含んだ態度等々を、「いつも陰で僕を笑いものにしてる」と定義し、「コブシヲニギ」り、「メヲサマ」す一助としても良いのではないでしょうか。

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